ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

やりがい、後進に伝える

2026.06.01

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京都府民生児童委員協議会会長 本郷 俊明さん

 ふる里の八幡市で初めて民生児童委員に就いたのは2004年12月でした。以来、21年が過ぎ、気が付くと京都府民生児童委員協議会の会長が13年目に。今春からは全国民生委員児童委員連合会の副会長も、お引き受けすることになりました。

 民生児童委員の仕事は、多岐にわたりますが、主には困りごとの相談で始まります。貧困、離婚、介護、育児…など深刻なものも少なくありません。私たちの基本スタンスは「最良の解決につながるよう、しかるべき専門職につなぐこと」。相談に深入りして、委員自身が悩んでしまわないように、留意しています。

 とはいえ、困りごとに対しては、相談者さんの置かれた背景もよく理解することが重要。委員の皆さんには「自分の担当区の人たちとは、日ごろから接して気さくにしゃべり合える関係を」と、お願いしています。

「民生児童委員は身近な相談相手として、まず話を傾聴することから始まる」と話す本郷俊明会長(八幡市橋本の自宅)

 新卒で金融機関に入り、30年間務めた私は、土日出勤を厭(いと)わないモーレツ社員でした。仕事で守った心構えは、多くの人と接して話をよく聞き、顔と名前を覚えることでした。

 金融マンならずとも、仕事の心構えとしては大切なことで、民生児童委員の仕事にも、当てはまると信じています。

 非常勤の地方公務員という性格の民生児童委員は、あくまでボランティアとして働きます。私の最初のボランティア活動は、金融機関を退職した直後に、設立から関わった「農住組合」でした。八幡市内の農家者で土地区画整理事業を行い、精算した余剰分を市や学校、神社などへ寄付したのです。

 農住組合を出発点に、地元自治会や防犯推進協議会にも参加。自治会では「多くの人と会って話す」を実行した結果、地元住民ならほぼ全員を「どこの誰」と見分けるほどになりました。ボランティア活動の基礎を学ぶと同時に、民生児童委員の仕事にも大いに役立ったのです。

 近年、一定の役割を果たせたと感じる私たちの活動に「ひとり親家庭奨学金の父子家庭拡大」があります。母子家庭が対象だったのを、京都府民生児童委員協議会で多年、京都府に働きかけ昨年度、実現していただきました。福祉の現場では、父子家庭の増加は肌で感じます。

 地域の見守り役としての役割が、ますます重要になっている民生児童委員の制度で、いま深刻なのが定員割れです。高齢化などにより全国各自治体で委員の担い手不足が見られ、八幡市でも13人が欠員。ベテラン委員が急減しているのも気がかりです。

 振り返ると、私は民生児童委員をやってよかったとつくづく感じます。お世話することは教えられることであり、ひいては自己の向上につながります。後進にやりがいを伝え、担い手を増やす「もうひと頑張り」が、これからの仕事と考えています。

ほんごう・としあき

1945年八幡市生まれ。立命館大卒。京都信用金庫で支店長などを歴任。退職後の2004年、八幡市民生児童委員となり10年から同委員協議会会長。14年、京都府民生児童委員協議会会長。26年3月、全国民生委員児童委員連合会副会長に就任。福祉功労で24年、厚労大臣表彰。今春に藍綬褒章受章。京都府社協副会長、八幡市防推協会長。八幡市在住。