ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

語り合い、支え合う知恵 がん患者つなぎ10周年(2026/06/16)

2026.06.16

  • 広がる 地域の輪

ともいき京都

 がんを体験した人が地域社会で支え合うネットワークづくりを目指すNPO法人「ともいき京都」(京都市上京区)の設立10周年を記念するイベントが催された。体験者や別都市で活動をする組織の関係者が対話するセッションでは、人と人がつながる大切さが浮かび上がった。

 「みんなで紡いだ生きる知恵~いのちを慈しみ、未来へつなぐ文化~」をテーマに、元立誠小の「立誠ガーデン ヒューリック京都」(中京区)で催した。ヨガや太極拳などのワークショップが行われ、京都市立芸術大生が弦楽四重奏を披露した。

 イベント冒頭、ともいき京都の田村恵子理事長は参加者およそ100人に向けて「支援する、されるという関係を超えてともに学び合い、語り合い自分らしく生きる活動を続けてきました」とあいさつした。
 「語り合おう!ともに歩んだ10年、ともに生きる」と題したトークセッションでは、上京区内の活動拠点でワークショップの場で教える人たちがまず発言した。

 重い病との診断にショックを受け数値が悪いと落ち込んでつらかった経験がある服部馨代(かよ)さんは、京都大医学部付属病院の患者会で、ともいき京都を知ったという。

ともいき京都の設立10周年を記念した会場で催されたトークセッション(5月24日、京都市中京区)

 「道しるべがなかった私に田村さんから『伴走してあげる』と言ってもらえた」ことをきっかけに今では「薬膳料理」のワークショップを開いている経緯を語った。人と人が語り合う大切さについて服部さんは「SNSやユーチューブで情報がどれだけあふれても、生身の人のつながりこそがすばらしい」と述べた。

 妻と死別した池田義徳さんは「太極拳」を、ワークショップで教えている。

 「ワーク後に語り合うことは私もいやされ参加者から力をもらう。笑い声が絶えない空気を体全体で感じてほっとする」と、ともいき京都での活動が自分自身のいきがいになっているという実感を語った。
 西村詠子さんは、医師だった夫をがんで見送った後に金沢市のNPO法人「がんとむきあう会」理事長を受け継いだ。同市内で患者や家族が対話やワークショップを通じて交流する拠点のハウスを開いている。

 「ともに歩んでくれる仲間がそばにいることは大きな支えになり、私自身のグリーフケアでした。まちなかのくらしの場で医療者が伴走してくれることで、心理的な安定と安全性が保証される」と、ともいき京都の活動に共感を示す。「ともに生きるという場が京都にも金沢にも全国の他の街にも、もっともっとできたらいい」と語った。そのうえで西村さんは「次なる人たちにどうバトンを手渡していくか、がんと共生できるまちづくり」をさらに進めていく思いを述べた。

 こうした発言を受けて田村理事長は「元気な人は全速力で駆け抜け、病の人はその人のペースでていねいに歩んでいく。そのパートナーであればいい」とし、「同じ体験をする人たちが出会い、つながっていく場であり続けたい」と結んだ。

(秋元太一)

ともいき京都

京都大医学研究科教授だった田村恵子さんが代表者の交流団体として2015年7月に発足し、22年10月に法人化した。京都市上京区室町通丸太町上ルの京町家「風伝館」を拠点に活動している。新型コロナウイルス感染者が増えたことに対応し、20年9月からオンライン配信に移行している。