ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

生活を通じた信頼関係

2026.06.22

  • 若葉

母子生活支援施設「母と子の家しらゆり」母子支援員/藤澤 未来琉(ふじさわ・みくる)さん(24)

 さまざまな事情を抱えた母親と子どもが、支援を受けながら一緒に生活する大津市の母子生活支援施設「母と子の家しらゆり」。ここで働く3年目の職員藤澤未来琉さん(24)。担当している親子を、丸ごと支えている。

 「母子の生活の場に深く入り込めるのは、この仕事ならでは。保育園や学校だけの関わりとは違う、生活を通じた信頼関係ができる。それが一番の魅力ですね」

 母子生活支援施設の入所理由は、経済的困窮、DV被害、育児困難など多岐にわたる。藤澤さんが担当するのは現在2世帯で、副担当として関わる世帯も二つある。

 職務の内容は幅広い。育児や保育関係が中心だが、最近は家事支援にも携わるように。一緒に料理や食器洗いもしながら、母親の話に耳を傾ける。「母親と子どもが生きていく上で大切なことを一緒にやっていく」。日々の積み重ねの中では継続的に関わり続けることが、この仕事の大きな特徴だ。

子どもたちが過ごす部屋を整える藤澤未来琉さん(5日、大津市)

 心理職への関心もあったが、進路を考える中で、保育士資格が取れる大学に進学した。入学後は保育園や幼稚園、児童養護施設での実習を経験するも、「親への直接支援もできる仕事がしたい」という思いをもつように。そこで母子生活支援施設の存在を知り、しらゆりを実習先に選んだ。

 「お母さんたちの力に」と考えた背景には、母子家庭だった自身の生い立ちが関わっている。母親は育児に不安があり、パニック障害を抱えていた。「周囲の大人たちが連携して私たちの家庭を見守ってくれて、ここまで来られた。だから、今度は自分が支える立場になりたかった」

 実習では、「マイナス面やできていない点は目につきやすいけれど、『できている』部分に着目してね」と教わった。お母さんはなぜそういう言動を取ったのか、背景を知り、視点を変えると、プラス面を見つけることができる。そのアドバイスが印象に残り、多面的に見る力をつけて成長したいという思いがわいて入職を決めた。

 やりがいを感じるのは、親子に変化が見えた時だ。母親に余裕がなく、兄弟げんかが絶えなかった家庭で、子どもと個々に話す時間を作るよう助言したところ、実践してくれたことがある。「やってみたら、子どもたちが自分の気持ちを言葉で伝えてくれるようになり、けんかが減ってきたと報告してくれて。やってみてよかった、と言ってもらえて、本当にうれしかった」

 自身は人見知りだと自覚しているが、「職場は、困った時はすぐに相談できる環境で支えられている」と実感。今後の目標は、「たくさん経験を積んで、幅広い相談に対応できる力をつけること」。また、施設の存在を広く知ってもらいたいという思いもある。「私の母も、生活しながら支えてもらえる施設の存在を知っていたら来たかったと思う。困っているお母さんや子どもたちに、支援を届けられる機会が増えたらいいですね」

 (フリーライター・小坂綾子)

母子生活支援施設 母と子の家しらゆり

1951年に大津市立膳所母子寮として創設されたのが始まり。現在は指定管理を受け、社会福祉法人湘南学園が運営する。母子家庭の母と子を保護するとともに、自立の促進のために生活を支援し、退所後の相談や援助、子育て支援も行う。定員15世帯。問い合わせは、湘南学園077(537)0046