ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

自然体験 親子で気軽に大胆に 棚田で田植え、川の生物観察…(2026/06/29)

2026.06.29

  • 広がる 地域の輪

木戸小学校おやじの会

 6月中旬の日曜日、大津市の西郊、琵琶湖を望む広さ約300平方㍍の棚田で地元小学校の低学年を中心に10組余りの男女児童と保護者らが、背後の比良山系から流れてくる山清水が張られた田に長靴やはだしで入り、20㌢ほどに育った「ヒノヒカリ」の苗を植えつけた。

 「木戸小学校おやじの会」が毎年開き、「見たことはあるけどやったことはない」という子どもたちが体験している。最初に農具や「倒れない程度に浅く植えて」などの説明を受けた後、六角形の田植え枠を転がして植える間隔を定めていく。田植え枠も、「おやじ」たちが昔の形に倣って角材を組んだ手作りだ。子どもらは泥が絡んで「重たい」と言いながらも父親と力を合わせて押していた。

 途中でカエルやオタマジャクシ捕りも始まり、大人たちの手助けもあり1時間余りで植え終え、親子で「田んぼはずぶずぶ足が入って難しかった」などと話していた。手で押す除草機「田車」や、田のあぜに泥を塗って補強する「あぜ塗り」も体験した。

梅雨らしい天候の下、親子で田植え体験。奥のほうでは田植え枠を押している参加者も(14日、大津市)

 毎年7月には地域を流れる大川に入ってタモで魚や水生昆虫などの生き物を捕まえたり、11月には鎌での稲刈り体験も行っている。

 地元の豊かな自然とその恵みを自分の体で感じ、知ってもらおうという催しで、「おやじの会」のメンバー自身が、自然と触れ合う機会が減少する世代でもあったので、その思いが一層強い。

 7月の生き物観察では、アユやヨシノボリ、カジカなどの魚類、サワガニやヌマガエル、各種のトンボの幼虫ヤゴなどを捕まえるといい、参加者が多い。会の代表、林敬一さん(47)によれば「子どもに自然体験させたいと思って」とか「家にいるとゲームしたりということが多いので、野外に出て遊ぶのはいい」などの感想が出るという。

 大阪、京都などから移り住んだ住民も多い地域で、お母さんたちは「ママ友」としてつながりができるが、それに比べてお父さんたちのつながりは希薄。そこで父親同士のコミュニケーションを深めながら、子どもたちも参加できて役に立つことをやってみないかという趣旨で会は始まった。「よその子どもと遊ぶのも新鮮だった」という声や「年齢や職業がばらばらのメンバーが集まって、地元のことなど、いろんな話が聞けるのもいい」とメンバーが定まってきたという。

 その1人で、農家から借りている田の管理を担っている造園業・農業の岸本昭彦さん(51)は「参加者に農業を知ってもらうのがありがたい」と話す。生き物の説明に参加している県内の大学院生(23)は別に環境教育のグループでも活動しているが「環境教育の行動では、お母さんたちは『ケガしたらどうしよう』とか心配性だが、『おやじ』さんたちは結構大胆なところもあってそれがいい」と言う。

 地元出身のメンバーの1人は、「会を始めて、こんないいところに住んでいるということを再認識させられた。それを体験できる場。おやじ同士なので気楽に参加できるのもいい」と話している。

「木戸小学校おやじの会」

2017年に結成。稲作り体験や生き物観察会などの活動は18年から始めている。メンバーは自営業やサラリーマンなど多様な職種の40~60代の約15人。木戸小学校区外からの幅広い参加も歓迎している。年齢は不問。連絡先はkidonooyaji@gmail.com