2026.07.27
2026.07.27
「京都新聞愛の奨学金」贈呈式
京都新聞社会福祉事業団の2026年度「京都新聞愛の奨学金」贈呈式が18日、京都市中京区のハートピア京都で行われた。奨学金を贈る立場と選んだ委員、受け取る学生のいずれも形式の枠を超えて心を込めたスピーチが続いた。社会の善意が循環して次の世代、未来へバトンを受け継いでいくという願いや理念が、色濃くにじんだ。(秋元太一)
冒頭のあいさつで京都新聞社会福祉事業団の白石真古人常務理事は、奨学金がさまざまな人たちに支えられていることを寄付者からのメッセージ文を読み上げた後、ひと呼吸をおいた。「大変うれしいできごとがありました」と、ある奨学生から受け取った便りについて時間を割いて語った。
美術大で日本画を学び大学院に進んだ女性が初めて個展を開くことを伝える内容だったという。個展を訪ねた白石常務理事は、女性から「奨学生を支える側にまわりたい」と告げられる。同事業団のチャリティー美術作品展に、女性は作品を寄贈した。「支援を受けて成長された方が、支援する側として参加してくださる。善意が次の世代へと受け継がれていく象徴だと感じています」。白石常務理事のぶりは感慨深げだった。
選考委員長からの祝辞で、横江美佐子・京都市南青少年活動センター所長は、世界の平和が揺らぎ国内で物価高騰が続く厳しい経済状況下でこそ「声を上げ、思いを伝える」ことの大切さに言及した。「つらい時に助けを求めることは負けることではありません。新たなつながりのチャンスです。一人ひとりを大切にする社会につながります」と奨学生たちに呼びかけた。


2回に分けての贈呈式で、奨学生代表の謝辞はそれぞれ1人ずつ述べた。
まず1部では、過疎化に伴う医療従事者不足が課題となっている京都府北部地域で生まれ育ち、京都府立医科大の看護学科で学ぶ松﨑怜愛(まつざき・れな)さんが「将来は助産師として地域医療に貢献したい」と夢を語った。実家を離れて1人で暮らし学生生活を送るうえで学費、生活費、教科書など多くの費用が必要となる。奨学金は「経済的な支えだけでなく、応援して下さる方々がいることは大きな励みになります」といい、「地域医療に貢献することで、恩を社会へ還元したい」との思いを力強いぶりで述べた。
2部では、フィンランドへ留学した京都産業大外国語学部の野田巧翔(のだ・たくと)さんが「異なる文化や考え方に触れ、自分自身の視野を広げることができました」と、日本の魅力を世界に発信する観光の仕事に携わりたいという思いが強くなったことを語った。大学1年からアルバイトとして勤務してきたユニバーサル・スタジオ・ジャパンに入社が決まり、「多くの方からいただいた親切や支えの恩返しとして、日本を訪れる方々を支える立場になりたい」と話した。

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京都新聞社会福祉事業団が発足した1965年以来続いている「愛の奨学金」は26年度、京都府・滋賀県の学生331人に総額2994万円が贈られた(児童養護施設高校生への激励金含む)。
内訳は、公募による「一般の部」は、高校生82人、大学生・専門学校生90人、「交通遺児の部」は高校生5人、大学生・専門学校生5人、公立高校から推薦を受けた「定時制・通信制高校生の部」9人だった。