2026.08.31
2026.08.31
「ともに生きる」をテーマにした福祉コラムです。
弁護士 尾藤 廣喜
前の国会では、「附帯(ふたい)決議」が大きな注目を集めた。
「附帯決議」とは、国会や地方議会の法案・議案を可決する際、条文には書き込めなかった要望や運用上の留意事項を議会(または委員会)の意思として示す決議を意味する。法的な効力はないが、政府や行政庁に対して、強い政治的・実質的な影響力があるとされている。
今回特に注目されたのは、「副首都法」の成立時の「附帯決議」だった。

「副首都法」は、東京一極集中の是正や多極分散型経済圏を作ることを目的とするとされているが、実質的には日本維新の会の目指す「大阪都構想」の実現を目的としているのではないかと言われており、これを防ぐために、「特別区設置」の住民投票と関係地方選挙の同時実施を禁止する旨の「附帯決議」を盛り込むことを与野党で合意して成立した。ところが、法案が成立したその日の夜に、日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)が、「附帯決議の意思は尊重したいが、(野党の提出した)同日選禁止法案は否決されている。これも国会の意思であり、同日選を目指すことに変わりがない」と発言した。野党からは、「国会軽視も甚だしい」との声が上がっていることから、「附帯決議」の意義はどこにあるのかということで注目が集まった。
確かに、「附帯決議」には法的拘束力はない。ただ、今回は、附則として法律内に盛り込んで法的拘束力を認めよとの野党の要求もあった中で、与野党の妥協の中での「附帯決議」だった。したがって、その内容は、立法府の意思として政府、与党(今回は議員立法だったため)はこれを尊重することが当然に求められる。
「附帯決議」は行政、政党にこれを尊重する意思がない場合には、生きてこない。
前回の国会では、高額医療費の自己負担引き上げ関係法や皇室典範の改正にも重要な附帯決議が付されている。
「附帯決議」を意味あるものにするために、私は、政治の世界にも信義を求めたい。
びとう・ひろき氏
1970年京都大法学部卒。70年厚生省(当時)入省。75年京都弁護士会に弁護士登録し、生活保護訴訟をはじめ「貧困」問題について全国的な活動を行っている。