ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

心と体の健康に、一緒にランチ 住み慣れた場所で 配食も (2026/08/31)

2026.08.31

  • 広がる 地域の輪

あなたの居場所SU CASA

 京都市伏見区にある7階建てマンションの1階、テナント用の広い一部屋に「あなたの居場所SU CASA(ス カサ)」がある。同じ建物の隣室でデイサービス施設(宅老所)「晴れる屋」を運営しているNPO法人「ちいろば」が2010年に開設。「赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが気軽に立ち寄れる居場所に」とスペイン語で「あなたの家」という意味で名付けた。

 法人が両施設を運営するのは「住み慣れた地域でお互いに助け合って支えあって暮らしていけるように」という思いから。「SU CASA」を「コミュニティーカフェ」とも位置づけ平日の毎日午前11時から午後3時までオープン、正午からは栄養バランスに配慮し、薄味にも気を配る日替わりメニューの「健康ランチ」を700円で提供し、毎日10人程が利用する。部屋の中央に据えた大きなテーブルを囲み、それぞれに食事をしたり、おしゃべりしたりしてゆったりと過ごす。

 もともとは同区内で手作り弁当の配食経験があった人たちが中心になって運営を始めただけに、「健康ランチ」と同内容の弁当を近隣に30食ほど配達している。高齢者や1人暮らしの人、福祉事業所関係からも注文があるという。

「SU CASA」で「健康ランチ」を食べたり、おしゃべりする利用者とボランティアら(7日、京都市伏見区)

 所長の君村淳さん(54)を中心に、地域に暮らす男女十人余りがボランティアで運営を支えている。ローテーションを組んで料理や配食を行っている1人、門戸幸子さん(79)は「できるのは家庭料理だけなんですけど、集まってくる人たちとあれこれ話しながら楽しくやってます」と笑顔。「高齢者も多いので、若い人にもっと参加してもらえれば」と付け加えた。

 ボランティアも多様。精神面に不調を抱える大浜剛さん(54)も中心メンバーの1人で、連日施設内のこまごまとした作業や音楽関係を引き受けながら、自慢の特製コーヒーを入れ続けている。ランチの利用者でもある津田昭二さん(84)は、家族のがんがきっかけで作り始めた「玄米スープ」の材料にする玄米を炒(い)る作業を毎回約1時間半かけて続けている。

 美術系の大学に進学した女性は、浪人中にオリジナルシャツやトートバッグを制作して独自製品化したり、楽しいイラストをちりばめたチラシやパンフレットのデザイン制作も行った。さらに部屋の内装のコーディネートも引き受けて、若者らしい明るくポップなセンスの店内作りに一役買った。

 「青森ヒバの浴槽でゆったり入浴」が売りの「晴れる屋」も1日定員10人の小さい規模での経営は財政的に厳しい。2020年からのコロナ禍では、事実上「閉鎖」状態になった時もあった。現在の悩みはコンロやオーブン、レンジなど大型の調理器具の老朽化と運営経費が厳しいこと。「ボランティアの皆さんの頑張りでなんとか支えられているのが実情」と君村さん。

 以前は障害者福祉施設で働いていた君村さんは、観月橋に近く、周囲には大規模な住宅団地もあり、独居の高齢者も多い地域なので「公民館のように気軽に立ち寄り、使ってもらえれば」とクラウドファンディングで支援を募ることも計画している。

「あなたの居場所SU CASA」

京都市伏見区桃山町。NPO法人「ちいろば」も2010年に認可を受け運営にあたっている。昼の食事は、「晴れる屋」利用者の昼食分やランチ、弁当を含め60食程度を準備している。075(644)5894。ホームページはhttps://www.gotchachiiroba.com