ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

高齢化対策、まち再生の核

2026.09.07

  • 来た道 行く道

洛西おれんじカフェ代表 東 憲一さん

 「認知症について、住民みんなで知識を深めよう。認知症になってもならなくても手をつなぎ合い、このまちで共に暮らしていこう」。洛西おれんじカフェは、そんな願いを込め2013年夏、京都市西京区の洛西ニュータウン(NT)にある洛西境谷会館内にオープンしました。

 きっかけは西京医師会の塚本忠司医師が、医師会主催の認知症学習会に参加した境谷地区の民生児童委員さんらを誘い、山科区の認知症カフェを見学したことでした。塚本医師から「洛西NTでもやれないか」と相談された私は、実行委員会を提案。認知症家族の会のみなさんらとPR活動を始め、会場を洛西境谷会館で私が経営する喫茶店「カフェ欅(けやき)」に決めました。ここは、私が代表の一般社団法人「洛西住民ネットワーク」の拠点でもあるのです。

 おれんじカフェは月1回の開催ですが、始めてみると毎回、50人を超す参加者があり店に入り切らず、境谷会館内の広い会場に替え今日に至っています。

「洛西おれんじカフェには、ぜひ家族ぐるみで来てほしい」と話す東憲一代表(京都市西京区、街の縁側cafe欅)

 開催日は塚本医師をメイン講師に、認知症の原因から最新治療法までを解説します。最後は私が、行政などへの要望や批判も交えてひとこと。みんなで歌ったり自由な会話も楽しみます。宗教や政党への勧誘はご法度。参加料は、原価同様で提供するコーヒー代を含む「お菓子付き300円」をオープン以来、守っています。

 「カフェ欅」の正式名は「街の縁側cafe欅」です。住民が気軽に集まれる場所としては、居場所より縁側が相応(ふさわ)しいと思い命名しました。まち開きから今年で半世紀になる洛西NTは、ピーク時から人口が半減。少子高齢化が深刻です。京都市営地下鉄の延伸は今も実現せず、8月には洛西高島屋が閉店するなど、まちは勢いを失い空き地の増加、買い物難民など問題が山積しているのです。

 私は、まち開きとほぼ同時に洛西NTに移住。65歳の時、「洛西住民ネットワーク」を結成して代表を務め、まちの再生を目指してきました。おれんじカフェは、その一環であり、高齢化対策の確かな核になると信じています。

 幼少期を大阪の在日韓国・朝鮮人住民が多かった地域で過ごし、学生時代にさまざまの3Kアルバイトを経験した私は、障害者を含むあらゆる差別を心から憎みます。「認知症になったら、人間もう終わり」などと考える人は、認知症カフェで十分学習してもらいたいですね。

 実はそういう私も昨秋、軽度の認知症と診断されました。でも店内での注文を間違うこともなく、焦りはありません。素直に受け入れカフェを続けていきます。

 うれしいことに最近、おれんじカフェには家族連れで参加される認知症当事者さんが増えました。世間の目を気にせず認知症への理解が進んだ証しです。私たちもこれに対応した変化が必要と考え、久しく中断している「認知症理解の寸劇」を復活させようか、と考えているところです。

あずま・のりかず

1944年、大阪市生まれ。龍谷大卒。協同組合京都府商工業者連盟に長く勤務、専務として経営指導などに当たる。退職後の2009年、洛西ニュータウンで(一社)洛西住民ネットワークを結成して広く住環境改善に取り組む。子ども食堂「ふれあい食堂けやキッズ」も毎月、開催している。西京区在住。