ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

成長を見つめる面白さ

2026.09.15

  • 若葉

青葉学園 保育士/坂之上翔(さかのうえ・つばさ)さん(23)

 自然豊かな環境にある亀岡市の児童養護施設「青葉学園」。6棟の小舎が建ち、親と暮らせない子どもたちが、家庭的な雰囲気の中で生活している。ここで働く保育士の坂之上翔さん(23)は、入職して2年目の職員だ。「一人一人と深く長く関われて、成長を見つめられるのがこの仕事の面白さ。関係性ができてきて、信頼してもらえるのがうれしい」と語る。

 同園は、一つの棟に子ども5、6人が暮らす小舎制で、「大きな家族」のようなシステムだ。坂之上さんは現在、小学生から高校生までが暮らす棟で2人を担当し、毎日の生活を支えたり、勉強を見たり、話を聞いたりして過ごしている。

 歳の離れた弟がいることもあり、子どもが好きで、保育士か幼稚園教諭になりたいと思っていた。大学では保育を学び、講義の中で児童養護施設の仕事を知った。精神的にしんどいイメージが強かったが、実習で青葉学園を訪れ、印象が一変した。「かわいくて、優しい子たちばかり。みんな生き生きとしていて、明るい職場だった」

担当する子どもたちの洗濯物をたたむ坂之上さん(亀岡市)

 保育園の実習では、子どもたちと過ごすのは楽しいけれど、緻密な指導案作成や発達段階の異なる大勢の子への対応ができるのか、不安もあった。また、保護者が迎えに来るまでの短い時間での関わりであることも気にかかった。一方、児童養護施設は、じっくり向きあえて、ゆとりのある職場だと感じた。年齢の近い子どもと関わる場面も多く、「頼れるお兄さん、お姉さん」のような関係性を築いている職員たちに「すてきだな」という印象をもち、青葉学園への入職を決めた。

 1年目は覚えるだけで精いっぱいだったが、2年目に入り、少し心に余裕が生まれている。「自信が出てきて、積極的に取り組めるようになった」と実感している。

 やりがいを感じるのは、子どもたちが弱さを見せてくれたときや、できなかったことができるようになって成長を感じたときだ。「思春期らしいコミュニケーションに言い返したくなることもあるけれど、心を許してくれているんだなと思うと、うれしさもある。最近は、明るく返すこともできるようになった」。職場環境も、若手職員が多くて気軽に相談しやすく「働きやすさ」も大きな魅力だ。

 今後の目標は、「みんなから愛される職員」になることだ。厳しく指導しているのに好かれている先輩に、あこがれがある。「どうすればそういう職員になれるのか、子どもたちと関わる中でヒントが見いだしたい」と考える。

 また、「児童養護施設の暗いイメージを変えたい」という思いもある。「かわいい子どもたちが生活しているということをわかってもらいたい」と強く思う。

 進路に迷う人には、「選択肢を広げて、情報を集めてほしい」と伝えたい。「就職のしやすさや、『誘われたし楽だから』という理由で選ぶのではなく、長く働く場所だからこそ、自分にベストな場所を探してほしいですね」

(フリーライター・小坂綾子)

青葉学園

社会福祉法人青葉学園が運営する児童養護施設。1947年、臨済宗妙心寺派龍潭寺の住職が創設した非行犯罪少年の更生施設が始まり。最初は大舎制からスタートしたが、家庭的な環境で過ごしてもらうため、小舎制に。子ども33人に対し、職員43人の手厚い体制が特徴。スポーツ活動としてフットサルに力を入れる。0771(22)0651