ともに生きる [TOMONI-IKIRU]

「お地蔵さま」共に背負い、つなぐ 京都文教大の地域協働実践例 (2026/09/21)

2026.09.21

  • 広がる 地域の輪

地蔵盆サポーターズ・プロジェクト

 京都市の代表的な地蔵盆信仰の寺の一つ、大善寺(伏見区)境内に8月22日と23日、ろうそくに照らされた祠(ほこら)の中に卵形のランタン「ホコランタン」が6個、夕暮れに浮かび上がった。

 同寺から比較的に近い京都文教大(宇治市)の実践社会学科が手作りした。高さ約50㌢の木製に、学生が風船に色紙や半紙を貼り付け、絵柄を描いた。

 ホコランタンは23日にも城陽市の長池公会堂に、長池地区の地蔵盆のマスコットと並んでともされた。

 同学科を指導する講師の谷本研さんによると、長池地域の住民とは地蔵盆にまつわる「ホコランプづくり」ワークショップも昨夏に開いたという。「ホコランタンと長池地域のマスコットが競演した今年は、より地域との協働が進んだ」(谷本さん)としている。

地蔵盆の8月22日、大善寺に学生の手作りのホコランタンが並んだ(京都市伏見区)=提供写真

 京都文教大の地域協働研究誌で、谷本さんは2024年から2カ年度にわたって取り組んだ「京の地蔵盆サポーターズ・プロジェクト」の実践例について執筆している。

 掲載文「研究ノート」で研究代表者の谷本さんは研究の背景として、京都をつなぐ無形文化遺産に選定されている地蔵盆について「近年は主役たる子どもの数が激減するとともに、行事を催す町内会の担い手不足が進んでいる」と懸念する。19年末から23年のコロナ禍による行事の縮小・中止で「存続自体が危ぶまれる地域も増えている」と危機感を示した。そのうえで経済団体など諸団体によるイベント参加、ワークショップなどを通じて地蔵盆の風習や文化を発信してきた具体例をつづっている。

 その発信例に挙げたイベントが8月29日と30日、中京区の佛教大二条キャンパスと商業施設で行われた。

 「京の地蔵盆・夏祭り体験会」と題するイベントは、中小企業家同友会中京支部などによる実行委が、これまで市役所前の地下街「ゼスト御池」で催してきた。

 5年目となる今年の会場周辺は、企業家同友会地域連携チームグループ長の「熊本玩具」をはじめ、子どもが喜ぶゲームや景品の買い出しに町内会や自治会関係者が多く訪れる卸売店や商店街にも近い。地蔵盆行事の買い出しのホームグラウンドであり、聖地ともいえる場所へと会場は移った。

 谷本さんは当日、地蔵信仰の京都での総本山的な役割で市民から親しまれてきた壬生寺(中京区)から会場まで地蔵を背負(しょい)子に乗せて各町内の祠を巡る恒例の取り組み「お地蔵さまを運ぶ」を今年も実施した。

 まず京都文教大の学生とともに同寺の無縁仏の山から地蔵を選び、本堂前で合掌した。
 境内を出た一行は坊上通を進んだ。大宮通へ北上しながら会場へ向かう道中は、今年初めて動画を会場にライブ配信した。

 「以前はどの町内でも祠に石仏がまつられ、町のシンボルでした」と道中で会場の人たちに向けて谷本さんは語りかける様子は刻一刻と会場に伝わった。

 地域との協働で積み重ねてきた研究プロジェクトの果実が、今年はより見える形で実った。

(秋元太一)