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天皇杯 第37回全国車いす駅伝

2026.03.13

  • 天皇盃全国車いす駅伝競走大会

戦力フル回転 福岡A雪辱 先行逃げ切り アンカーも「余裕」

 天皇杯第37回全国車いす駅伝は8日、国立京都国際会館前からたけびしスタジアム京都までの5区間21・3キロで行われ、福岡Aが49分34秒で2年ぶり8度目の優勝を果たした。
 福岡Aは1区渡辺が第1中継所直前で先頭に立つと、2区大津、4区洞ノ上も区間賞で後続との差を広げて逃げ切った。岡山Aはアンカー豊田が区間賞の走りで順位を二つ上げ、過去最高に並ぶ2位に入った。大分Aが3位、前回優勝の東京は4位だった。京都Aは8位、京都Bは14位だった。
 福岡Aが狙い通りの先行逃げ切りで雪辱を果たした。ライバルは前回アンカーで逆転を許した東京。最終区間までにどれだけ東京に差をつけられるかがポイントだった。
 1区の渡辺主将は1日の東京マラソンで日本勢トップの3位に入った実力者。パリ・パラリンピック陸上男子100メートル(車いすT54)代表の岡山A・生馬と激しい先頭争いを演じ、「最後のスプリントなら負けない」と中継所直前で前に出た。
 2区大津は「東京には絶対に差を詰められたくない」と、区間賞の走りで後続との差を広げた。3区田中は「前を走る白バイを追いかけた」と単独走でもリズムを崩さず先頭を守り、後半の要、4区のスペシャリスト洞ノ上へ。洞ノ上は「マイペースで行く」と得意の上りを快走し、4大会連続の4区区間賞で2位東京との差を2分2秒まで広げた。
 アンカーは車いすの中でも障害が重いクラス(T52)の松本。4人の貯金が支えとなり「余裕を持って楽しんで走れた」。拍手に迎えられてトラックに入り、右手を突き上げゴールテープを切った。
 会心のレースに渡辺主将は「自分たちはさまざまな障害の選手がいて、記録だけなら他に速いチームはあるはず。やり方次第で勝てるのが駅伝の面白さ」と喜びをかみしめた。(江夏順平)


序盤トラブルも京都A底力8位
 京都Aは序盤のトラブルで17位と出遅れたが、巻き返して8位に食い込んだ。けがを乗り越えて2年ぶりに出場した1区用田は「大会に向けて調子を上げていたのに」と悔やみ、「入賞は後ろの4人のおかげ」と感謝した。
 1区の半分を過ぎた頃、用田のレーサーに異変が起きた。右の車輪の部品が緩んで速度が落ちるアクシデント。用田は「行けるところまで走ろう」と、手で直しながら前へ進んだ。2区は繰り上げスタートとなったが、後続メンバーは緊急事態にも動じなかった。2区今岡は「考え過ぎずに走れた」と初出場ながら区間5位の快走を見せた。16位で引き継いだ3区の中井主将も5人を抜いて仲間を勢いづけた。
 4区寒川は「スタートしてすぐに前を走る選手が見えた」とパラリンピックメダリストの意地を見せ、11位から8位へ順位を上げた。アンカー野村は「強風を想定した練習が実を結んだ」と最後まで力を振り絞った。
 表彰台には届かなかったが、「けがなく終われて良かった」と中井。「チーム一丸となって引き続き練習していきたい」と前を向いた。(町塚葵)


天皇杯第37回全国車いす駅伝成績

(1)福岡A(渡辺、大津、田中、洞ノ上、松本) 49分34秒
(2)岡山A(生馬、吉田、仲泊、松永、豊田)50分14秒
(3)大分A(山口、渡辺昭、渡辺幹、河室、広道)50分29秒
(4)東京(西、古畑、遠山、佐々木、渡辺)50分35秒
(5)関東ブロック(樋口、奥村、山本、佐藤、橋爪)55分59秒
(6)愛知(大橋、吉村、山口、沢田、藤島)59分48秒
(7)兵庫(萩原、赤井、大西、枝川、吉野)59分49秒
(8)京都A(用田、今岡、中井、寒川、野村)1時間 1分59秒
(9)愛媛(西岡、浜田、佐伯、山口、石田)1時間 4分14秒
(10)静岡(松永、桜井、市野、海野、鈴木)1時間 5分37秒
(11)北信越ブロック(伊藤、細川、梅沢、寺島、横田)1時間 5分44秒
(12)大分B(笹原拓、城、塩地、笹原広、佐藤)1時間 7分 0秒
(13)長野(青木、樗沢、宮坂、長崎、中田)1時間 8分55秒
(14)京都B(馬場、池田、杉本、中田、佐野) 1時間 9分39秒
(15)熊本(岩下、見崎、原、内賀島、竹内)1時間12分 2秒
(16)埼玉(田口、長谷川、清水、川崎、佐々木)1時間16分34秒
(17)福岡B(内田、黒沢元、黒沢虎、辻野、片平)1時間19分44秒
(18)岡山B(山本、関藤、柴尾、能島、丸久)1時間21分26秒
(19)鹿児島(大迫、前田、荒平、新地、黒木)1時間21分58秒

【区間記録】▽1区(6.4キロ)渡辺勝(福岡A)11分50秒▽2区(2.8キロ)大津圭介(福岡A)7分7秒
▽3区(2.4キロ)遠山勝元(東京)6分56秒▽4区(5.7キロ)洞ノ上浩太(福岡A)11分33秒▽5区(
4.0キロ)豊田響心(岡山A)9分1秒


京都B健闘14位
 ○…前回最下位の18位だった京都Bは、14位と大幅に順位を上げた。沢村監督は「区間配置を変えて挑んだのが奏功した。トラブルなく、よく頑張ってくれた」とねぎらった。
 前半の15位からチームを勢いづけたのは3区杉本だった。強い向かい風を受けながらも緩い上り坂を着実に進み、「繰り上げスタートになる直前に(4区中田と)タッチできた。次の走者へつなげられてほっとした」と笑顔を見せた。
 アンカーの佐野主将は力強く走り抜き、最後はガッツポーズ。「みんなでつなぐ駅伝の魅力を改めて実感した。若手からベテランまで来年に向けてこれからも走り続ける」とさらなる成長を誓った。


岡山A若い力で2位
 ○…岡山Aは過去最高に並ぶ3度目の2位に入った。1区生馬主将が「やりたいレースはできた」と福岡Aと2秒差の2位でつなぎ、弾みをつけた。4位でスタートしたアンカー豊田は終盤まで競り合い「ギリギリの戦いだったが、なんとか離せた」と順位を二つ上げた。
 3人が20歳以下という若い布陣で、全員が区間4位以内と健闘した。生馬主将は「まだ伸びるチーム。来年は優勝が見えてくる」と自信を深めた。

優勝のゴールテープを切る福岡Aのアンカー松本(たけびしスタジアム京都)=撮影・伊藤揺梨
優勝した福岡Aチームに天皇杯を授与される高円宮妃久子さま(京都市体育館)
京都Aの3区中井(左)にタッチする2区今岡=京都市上京区・第2中継所 撮影・三木千絵